ECモールと自社ECの違い・メリットとデメリット

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ネットショップを開業しようと考えてみた時、自社ECサイトを作るか、Amazonや楽天、YahooショッピングなどのECモールに出店するか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

ネットショップを開業しようとした時、大きく分けてECモールに出店する方法と、自社ECサイトを構築する方法の二通りがあります。

いずれの方法を選択するにしても、メリットとデメリットがあります。

今回は実際にネットショップを運営している観点から、ECモールと自社ECの違い・メリットとデメリットをご紹介したいと思います。

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ECモールと自社ECの違い

ECモールは、Amazonや楽天市場、Yahooショッピングなどの大きなモールのことです。

一方、自社ECとは自前でネットショップ機能を設けたサイトのことです。最近多いのはShopify、カラーミー、BASEなどのASPサービスを利用して構築することが多いです。

ECモールは百貨店や大型のショッピングモール、自社ECは単独で出店する路面店とイメージしてみるとわかりやすいかもしれません。

ショッピングモールにはたくさんの店舗が出店しているため、具体的に欲しい商品をイメージできていなくてもいくつかの店舗を見てまわる中で、欲しい商品に出会える可能性があります。

それに対して、自社ECは路面店と似ていて、欲しいものが具体的にイメージできていないと、そもそも来店することもないかもしれません。「あの商品が欲しいから、あのお店で見てみよう!」といった感じですよね。

以上のことから、ECモールと自社ECでは来店目的の違いから、集客方法が異なってくると考えることもできます。

ここからは、ECモールと自社ECについてもう少し詳しく説明していきます。

ECモールとは

ECモールとは、インターネット上のショッピングモール(仮想商店街)のことを意味します。日本では、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングが代表的なECモールで、月間利用者数と出店店舗数は以下のとおりです。

サービス名月間利用者数出店店舗数
Amazon5,253万人(2020)17.8万店舗(2015)
楽天市場5,138万人(2020)5万店舗(2020)
Yahoo!ショッピング2,945万人(2020)87万店舗(2019)

世界最大のECモール「Amazon」

まずは世界最大のECモールAmazonです。

Amazonは元々1995年にオンライン書店からスタートしました。創業当初からエブリシング・ストア(何でも買えるお店)を目指していたのは有名な話です。今ではみなさんご存じのとおり、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)として世界的に有名な企業となり、多数の商品を扱っています。

Amazonの特徴として、「出店」ではなく、「出品」であるということです。モールの中に店舗を構えるというのではなく、Amazon内に商品を置かせてもらうイメージです。2020年の時点で楽天市場の月間利用者数よりも多く、日本最大のECモールとなっています。

日本国内最大手「楽天市場」

次に有名なのが日本国内で最大手の楽天市場です。

楽天は1997年に日本で創業。「インターネットで人はモノを買わない」と言われた時代に、地方の小さな商店でも、簡単に店を開けるようにしたいというコンセプトでスタートしました。

楽天市場は特徴がある個店の集合体のイメージで、百貨店や大きなショッピングモールに自分の店舗を出店するイメージに近いですね。サポートは手厚いですが、その分、出店料が高くなってしまう傾向があります。

日本最大級のポータルサイトYahoo!が運営「Yahoo!ショッピング」

次に日本最大級のポータルサイトYahoo!が運営する「Yahooショッピング」です。

Yahooは2013年にeコマース事業の強化を始め、ストア出店料(月額システム利用料)と売上ロイヤルティの完全無料化で出店店舗数を大幅に増加させました。

初期費用、固定費、売上ロイヤリティが無料で、売れたときに、初めて決済手数料、ポイント、アフィリエイトの費用が発生するのが大きな特徴です。固定費がかからないので、出店店舗数が圧倒的に多く、他のECモールで実績のある店舗が人気店となっているのが現状です。

ECモールのメリットとデメリット

ECモールのメリットとデメリットは下記の通りです。やはり一番の魅力はモールの集客力に頼ることができることです。反面、モールの販売手数料が割高になりがちなのがデメリットとしてあげられます。

メリットデメリット
ECモール・モールの集客力に頼ることができる

・モールの信頼性から商品購入につながりやすい

・ITスキルや知識がなくても、簡単に出店ができる
・モールへの販売手数料、販促費用が高くなりがち

・競合との顧客の奪い合い、価格競争になる

・ショップのブランド構築が困難

ECモールのメリット

モールの集客力に頼ることができる

一つ目のメリットは、モールの集客力に頼ることができることです。自社で集客のためにSEO対策をしなくても、モール自体に集客力があるため、ECモールのお客様が店舗を訪れてくれます。商品販売や接客など、集客以外の要素に集中することが可能といえます。定期的に集客イベントが実施されることも集客面からありがたいですね。

モールの信頼性から商品購入につながりやすい

二つ目のメリットは自社ブランドの知名度が高くなくても、モール自体にブランド力があるので、安心して買い物してもらえることです。

個別のショップで買い物をするというよりも、有名な百貨店で購入するのと似たようなイメージです。

全然知らない小さなお店で、クレジットカード決済で買い物するのをためらうお客様もいらっしゃいますが、ECモールだと安心して買い物してもらえます。

ITスキルや知識がなくても、簡単に出店ができる

3つ目のメリットは、ITスキルや知識がなくても簡単に出展ができることです。

ECモール側がパソコン操作の苦手な方でも、簡単に効率的にお店のページを制作編集できるツールを用意してくれています。

ITの専門的な知識がなくても使うことができる、店舗売上分析ツールが用意されています。

ECモールのデメリット

次にECモールのデメリットについて挙げていきます。

モールへの販売手数料、販促費用が高くなりがち

一つ目のデメリットは、モールへの販売手数料、販促費用が高くなりがちになることです。

モールへの基本的な出店料に加えて、売上の拡大、店舗運営の効率化のために販売手数料、販促費用などが想定以上にかかることがあります。

「売る仕組みが出来上がっている場所で、ネットショップ運営の経験を積むために、初期にかかる費用は投資として必要!」と割り切るくらいの気持ちが必要になってきます。

「Amazon」、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」「自社EC」での最安プラン
サービス名コース初期費用月額固定費月額変動費
Amazon小口出品無料無料・8%~15% +販売手数料100円
楽天市場がんばれプラン60,000円19,500円・3.5~7.0% +決済手数料
Yahoo!ショッピング一律無料無料・ストアポイント原資負担 :1%~15%(1%必須)
・キャンペーン原資負担 :1.5%必須
・アフィリエイトパートナー報酬原資:1%~50%(1%は必須)
・アフィリエイト手数料 :アフィリエイトパートナー報酬原資の30%
自社EC (例. BASE)一律無料無料・3%(システム利用料) + 3,3%+40円(決済手数料)
2021年7月時点

自社EC(例. BASE)と比較すると、ECモールはやはり手数料が高い目になることがわかります。

後ほどご紹介しますが、自社ECであれば初期費用を少なくして出店することが可能です。

競合との顧客の奪い合い、価格競争になる

3つ目のデメリットは、同業他社が多数存在する場合、どうしても検索で価格をもとに比較されてしまいがちです。

商品の特徴が強くなければ、競合よりも安い価格を提示して販売せざるをえないので、不毛な価格競争に陥る可能性があります。

ショップのブランド構築が困難

4つ目のデメリットは、自社ECと比較するとショップのブランド構築が困難である点です。

ECモールのブランド力をお借りしている以上、自社のショップブランド構築はどうしても難しくなります。名もないブランドが百貨店などに出店するのと同じ状況ですね。

商品を売るだけではない、お店が大切にしていることやブランドコンセプトをお客様に伝えるには別途、自由に表現できる場が必要になってきます。

次に自社ECの特徴を見ていきましょう。

自社ECとは

自社ECとは、お店自身が独自にネットショップ運営するECサイトのことです。独自ドメインを設定し、デザインやシステムを思いどおりに構築することができます。

以前よりも手軽に自社ECを持つことができるようになった

以前であれば、ネットショップを一から構築するには高度な技術が必要で、システムエンジニアやWEBデザイナーなどの専門家の力が必須でした。

しかし、現在ではITサービスの発達により、「shopify」「カラーミー」「BASE」などのサービスが手軽に始められるようになり、事業主は少額な費用でも自社ECサイトを持つことができるようになりました。

自社ECの構築方法

自社ECを構築する方法としては、「ASP」、「オープンソース」、「パッケージ」、「フルスクラッチ」などが挙げられます。それぞれの特徴は以下のとおりです。

一番手軽に自社ECを解説できる「ASP」

ASPとは、「Application Service Provider」の略で、インターネットを経由してソフトウェアやソフトウェア稼働環境を提供するサービスです。

「Shopify」や「BASE」、「Stores」、「カラーミー」などが代表的なASPです。

サービス提供側がシステムの更新を随時実施するため、自社でメンテナンスしなくても最新の機能を利用することができます。

基本的にASPが一番手軽で低コストでスタートできるので個人事業主や小規模法人であれば一番おすすめです。

オープンソース

次によくある方法としてオープンソース(無料)のソフトウェアを使用する方法で、EC-CUBEやWordPressなどでネットショップを開くことができます。。

インターネット上に公開されている無料のソフトウェアを使用して、サーバーにインストールしてECサイトを構築します。

フルスクラッチや有償パッケージと比べると導入費用をかなり抑えられ、技術力があればカスタマイズの自由度は高いですが、セキュリティ面や保守管理にかなり気をつける必要があります。

決済・顧客管理などのセキュリティ対策が自己責任に委ねられており、社内に技術者がいない場合はASPなどの方が無難です。

パッケージソフトウェア

次にパッケージソフトウェアをつかってECサイトを構築する方法です。

自社ECサイトのベースとなるソフトウェアを購入し、設定を変更したり、追加開発を行ったりして、自社要件にフィットさせていく開発手法です。

次にご紹介するフルスクラッチよりも費用を抑え、短期間で構築することが可能ですが、それでも前述のASPやオープンソースよりも購入費用がかなりかかりますので、一般的なASPでは要件が合わない・ある程度の規模の場合に検討することになるかと思います。

フルスクラッチ(1から開発)

最後にフルスクラッチです。

フルスクラッチとは、システムを全てゼロから自前で制作することです。自社の要件を全て吸収した上で開発が行われるので、自社のニーズに合致したシステムを開発することが可能です。

しかし、1から開発するため初期費用が数百万〜数千万単位でかかることもあるので、特殊な要件でなければフルスクラッチを選択することは少ないと思います。

自社ECのメリットとデメリット

自社ECのメリットは下記の通りです。ECモールと比べると自由度が高く、手数料などの変動費を抑えることができるというメリットがある一方、自力で時間をかけて集客をする必要があり、販売チャネルを育てないと集客というデメリットがあります。

  メリット デメリット
自社EC ・ECモールと比べると自由度が高い

・自社ドメインでショップブランド構築をできる

・ECモールと比べると変動費を抑えて利益率を高めることが可能

・自力で時間をかけて集客する必要がある

 

・主体的に運営しないと結果が出にくい

 

次に自社ECのメリットについて説明をしていきます。

自社ECのメリット

初期費用・手数料を抑えることで利益率を高めることが可能

一つ目のメリットは、初期費用・手数料を抑えることで利益率を高めることが可能です。

自社ECでは、ECモール出店で必要だった販売手数料や初期費用が、ECモールよりも低コストであることがほとんどです。

ECモールのように競合との値下げ競争に陥る可能性が低く、結果として利益率を高めることができます。

サイトやデザイン・設定の自由度が高い

二つ目のメリットは、自社ECはECモールよりも自由度が高いことです。

ショップ機能やデザインをある程度自由に決めることができます。

ECモールではモール側が顧客情報を管理していましたが、自社ECでは顧客情報を自社のデータ資産として蓄積していくことができます。顧客の購買履歴に応じてプロモーションを実施することで、リピート顧客や優良顧客を育てていく仕組みを作ることができます。

商品ページのレイアウトや注文画面、自社ブランド紹介などをお客様にわかりやすく表現することで、独自のショップブランドを構築することが可能となります。

自社のショップブランドを構築できる

また、自社ECでは通常独自ドメインを利用できることが多く、自社ブランドを構築できることもメリットです。

ECモールではブランドを築きにくいですが、自社サイトを育てショップブランドを構築できれば、自社ECでも集客が活発になります。

自社ECのデメリット

ここからは自社ECのデメリットについて説明をしていきます。

自力で時間をかけて集客する必要がある

一つ目は、自力で時間をかけて集客する必要があることです。

自社ECでは、ネットショップを構築しただけでは売上には結びつきにくいです。

ECモールへの出店では、モールの顧客が初めから潜在顧客として存在するのとは対照的ですね。

自社のネットショップを立ち上げた直後から、SEO対策やブログなどのコンテンツ作り、広告運用などを実施し、自力で集客していく必要があります。成果が出るまで時間がかかりますが、一つ一つの施策を忍耐強く継続していかなければなりません。

主体的に運営しないと結果が出にくい

二つ目は、主体的に運営しないと結果が出にくいこっとです。

自社ECのメリットを享受するまでの道のりは決して楽ではありません。日々、ネットショップの改善を図り、顧客との関係づくりを地道に強化するなど、主体的に時間をかけて課題に取り組んでいく必要があります。

事業の目的・内容に合わせて自社ECかECモールを選択するのが重要

今回ご紹介したメリットデメリットを踏まえた上で、事業の目的・内容に合わせて自社ECかECモールを選択するのが重要です。

競合が多く、比較購買が検討されるような商材であれば、ECモールに出店することで、圧倒的な集客力を活かしながら、商品の露出を増やして売上拡大につなげていくことができます。

一方で、明確に欲しいブランドや商品が決まっている、いわゆる「指名買い」に近い場合は、個々のお店から直に購入するケースが多いです。自社ECを立ち上げてショップブランドを構築することで、リピート顧客・有力顧客を増やしていくことで売上の向上を図ります。

ただ、自社ECにおいては、お客様に明確な来店目的がないと訪問されないので、集客が課題となってきます。

この課題を解決するために欠かせないのが、「顧客管理」となります。顧客の購買履歴からメルマガやDMを送付することで、商品露出を増やし、SNSやブログなどを活用しながら、顧客との関係性を深めていくのが自社ECの運営には大切です。

資金や人員の制約がないのであれば、ECモールと自社ECを同時に運営するという選択肢もあります。ショップブランドの知名度を上げるために、集客力のあるECモールを活用し、商品の知名度や販売実績を積み上げて、自社ECの運営に活かしていくことも可能です。

いずれにしても、自社の事業展開にあわせた戦い方を模索することが重要です。

まとめ

まとめです。ここまで、ECモールと自社ECのメリットとデメリットをお伝えしてきました。どちらにも一長一短があり、一概にはどちらがいいとは断言できないのが正直なところです。

ただ、「どういう商売にしていきたいのか。」を真剣に考えることが大切だと感じています。

ここでご紹介したいのが、京セラの創業者・稲盛和夫氏の言葉、「値決めは経営である」です。

経営の死命を制するのは値決めです。値決めにあたっては、利幅を少なくして大量に売るのか、それとも少量であっても利幅を多く取るのか、その価格設定は無段階でいくらでもあると言えます。

https://www.kyocera.co.jp/inamori/philosophy/words63.html

ネットショップで販売するにあたって、どれだけの利幅を取ったときに、どれだけの量が売れるのか、またどれだけの利益が出るのかを、熟慮を重ねて検討していく必要があります。

短期的な成果を求めるのか、時間がかかってもショップブランドを構築して将来的に高利益を獲得するのか、目指す方向性を定め、自社にあったECサイトの展開を考えていくことが大切です。

今回は以上になります。最後までご覧いただきありがとうございました。